地球上には、様々な生きものが互いに「つながりあい」そして「バランスをとりながら」生きています。この、生きものとそのつながりの豊かさを「生物多様性」といいます。
この地球上には、知られているだけで約175万種、未知のものを含めると3,000万種とも言われる生物が暮らしています。これを「種の多様性(=いろいろな生きものがいること)」と言います。
また、生きものの暮らす環境を見てみると、森林や草原、砂漠、河川やサンゴ礁などと様々です。
すべての生きものは、約40億年もの進化の過程でこれらの環境に適応することで、多様に分化したのです。この「生態系の多様性(=さまざまな環境があること)」も、生物多様性の一面です。
さらに、様々な環境変化に対応するためには、乾燥に強い、暑さに強い、病気に強いなど、さまざまな個性をもつ個体が存在する必要があります。そのため、同じ種であっても個体間で、また、生息する地域によって体の形や行動などの特徴に少しずつ違いがあります。
この「遺伝子の多様性(=それぞれの種の中でも個体差があること)」も、忘れてはならない生物多様性の一面です。
また、生物多様性は、過去から未来に向けて生物が進化や絶滅を繰り返している状態である、という時間軸上の変化も含む概念です。
競争や共生などの自然な相互関係により、生物が自由に進化・絶滅していくダイナミズムが確保されていることが大切なのです。
すべての生きものは、食べる・食べられる、助け合う、すみ分けるなど、いろいろな関係で複雑につながりあっています。
私たちも生きもののつながりの中の一員であり、生物多様性からの恵み(生態系サービス)を受けて生きています。
たとえば、私たちは、生きものそのもの、または発酵などの生きものの機能を利用して食べ物を得ています。また、紙や建材、衣服や医薬品の原料として利用しています。
そして何より、私たちの暮らしには、植物などによって作られた酸素、微生物などによって浄化された水が不可欠です。
さらに、生きものの形が工業製品のデザインに応用されたり、地域固有の自然環境がレクリエーションの場になったりするなど、生物多様性は様々な側面で私たちの暮らしを支えています。
なごやに住む私たちの暮らしは、周辺地域での生産や外国からの輸入に大きく依存しており、それらの地域の生物多様性を利用しているといえます。
また、市内の公園などの身近な自然からも、憩いの場として活用したり、ヒートアイランド現象の緩和作用を得たりと、様々な恵みを受けています。
そのため、これらの恵みを将来にわたって受け続けられるように配慮することが求められているのです。