ため池の水を農業用水として利用していたころ、農作業を終えた冬には池から水を抜き、底にたまったドロや土砂を取り除き、堤防や水門の点検修理を行っていました。
冬の間中、天日にさらされた池底では腐敗物の分解、殺菌が行われ、春の菜種梅雨を受けて水が貯まっていきました。取り除いたドロは肥料として活用し、捕らえたコイやフナ、モロコなどは冬場の貴重なタンパク源として食されていました。池干しは、地域の人々の暮らしを支えながら、多様な生きものたちのすみかの環境も守ってきました。
ため池の用途が利水から治水へと変わると池を干す慣習も見られなくなりましたが、ため池の在来種を守ることを目的として、外来生物を除去する池干しが注目され始めています。
また、池干しはため池の生態系の調査にとっても重要です。
ため池内の生きものの生息状況を詳細に調査するとともに、生きものを捕獲し外来種(オオクチバス、ブルーギル、ミシシッピアカミミガメ、カムルチーなど)を除去することを通し、ため池の生物多様性の保全に役立てます。
池干しを地域の団体や学校と一緒に行うことで、地域の環境保全の取り組みを促進し、子どもたちには生きものとのふれあいを通じて自然を守る意識を育てます。
過去に池干しを実施した池やこれから行う池について生物調査や植生調査等を行い、池干しの影響について調べます。
池干し当日は、捕獲した生物の展示と説明、ため池の歴史や地域の人たちの活動を紹介します。
1. 地引網で魚等の追い込み | |
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2. 捕獲 | |
3. 魚等の洗浄と選別 | |
4. 捕獲された生きものの展示 | |
5. 除去生物の運び出し | |
6. 在来種を保護生簀 (近隣の池に設置)へ移動 |
11月17日(日)に、千種区茶屋ヶ坂公園内の茶屋ヶ坂池で池干しを行いました。小学生をはじめとする地域住民の方々、市民生きもの調査員、専門家など110名が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると360名の方に参加いただきました。
池の水位を下げ、水の残った部分において地引網を使って魚を集め、タモ網ですくって生物採集を行い、池に生息している生物を調査しました。また、採集した生物の展示を行い、参加者や見学者の方々に池の生物について知っていただきました。
在来の生物では、モツゴやニホンイシガメ、ヒメタニシなどが確認できました。池に生息していた生物の大半は外来種で、ブラックバスやブルーギルなどを取り除きました。
また、外来の植物ではホテイアオイを取り除きました。
池の様子
生物採集の様子
採集生物の選別
ニホンイシガメ(在来種)
(手前)オオマリコケムシ(外来種)
オオクチバス(特定外来生物)
11月10日(土)に、守山区小幡緑地内の竜巻池で池干しを行いました。小学生をはじめとする地域住民の方々、専門家など200名が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると450名の方に参加いただきました。
わずかに水の残った部分において地引き網や手づかみでの生物採集をおこない、採集した生物を展示しました。
また、このうち外来の魚類(ブラックバス・ブルーギルなど)140kgを除去しました。
また、池際の外来の植物(セイタカアワダチソウ)も約30kgを除去しました。
池の様子
生物採集の様子
生物採集の様子2
ニホンスッポン
ヌマガイ
ブルーギル(特定外来生物)
11月3日(木・祝)、天白区のほぼ中央に立地する天白公園内の大根池で池干しを行いました。小学生をはじめ多くの市民、研究者・専門家など約600人が池内の活動に参加したほか、見学者を含めると約1,200人もの参加がありました。
池の様子
生物採集の様子
ヒメミズカマキリ
ヌマガイ
ウシガエル(特定外来生物)
カムルチー(要注意外来生物)
採集した生物の展示コーナー
成果報告の様子
平成21年度に池干しを実施した昭和区の隼人池では、ブラックバスやブルーギル、コイを取り除いたことで、翌年には、池干し時にはあまり見られなかったモツゴが大繁殖しました。また、池干し時にはいなかったフナの稚魚の遊泳が見られます。
平成22年度に実施した守山区の雨池では、ヒシが再生しました。