水辺の生きもの部会では、名古屋市およびその近郊にある水域に生息・生育する水辺の生きものについて、協議会会員、市民調査員、学生、専門家、 保全団体などと協働で、分布調査、生息・生育環境調査を行っています。
また、環境教育や次世代育成にも力を入れています。
これらの活動から得られた知見をもとに、在来種の保全対策や外来種の防除対策を計画・実施することで生物多様性の保全に繋げています。
2011年 外来スイレン調査(東山新池)
協議会設立の2011(平成23)年から2013 年度まではため池部会という名称で、主にため池の生物調査を行いました。
2014年度から水辺の生きもの部会に改称して、ため池だけでなく水田・水路とその周辺の生物調査、カエル類の生息調査などにも活動の範囲を広げました。
その後、2016年度から水生植物部会が合流して調査対象に水生植物が加わり、現在に至っています。
2019年 水路での魚類調査(中川区水里)
ため池部会当時(2011年5月~ 2013年度)は、名古屋市内の主要なため池として選定した10箇所の生物調査、協議会の前身である名古屋ため池生物多様性保全協議会が行った池干し後のモニタリング調査などを行いました。
水辺の生きもの部会に改称後は、池干し実施池のモニタリング調査、水田・水路とその周辺の生物調査、カエル類の生息調査、カワバタモロコの保護と生体標本の維持管理、カワバタモロコを題材にした環境教育、スキルアップ講座(ヤゴ同定、カエル、漁網体験等)などを行ってきました。
水生植物部会合流後は上記に加えて、園芸スイレン除去・啓発、名古屋城水堀の植生調査、東山の水田雑草調査などが加わりました。
2016年 地曳網体験講座(植田川)
2018年 池干しでの地曳網(戸田川生態園)
2019年 カワバタモロコを題材とした
環境学習講座(福春小学校)
2016年度から合流した水生植物部会は、協議会設立時には外来スイレン対策部会という名称でした(2011 ~ 2013年度;外来スイレン対策部会、
2014 ~ 2015年度;水生植物部会)。
協議会の歴代部会の中でも活動実績豊富な部会で、市内87箇所のため池および周辺湿地の水生植物調査、遮光シートによるスイレン除去実験、園芸スイレン除去の普及啓発、名古屋城水堀のオニバス調査および種子からの栽培などを行ってきました。
2015年 オニバス調査(名古屋城水堀)
なごやの水辺は都市化の波にさらされて減少の一途をたどってきました。
また、コンクリート護岸に代表される人工物化が進み、生きものの生息環境としては好ましくない方向に改変されてきました。
その結果、水生生物を含む水辺の生きものの多くが、名古屋市版レッドデータブックの掲載種となっています。
大都市の宿命とあきらめかけていた、そんな危機的な状況のなかでも、よくよく調べてみると、残された生息環境の中に意外に多くの生きものが息づいていたり、絶滅したと思われていた生きものが数十年ぶりに再発見されたり、名古屋市初記録となる生きものが見つかったりといったことが、この10年の活動のなかで起きました。
「今ならまだ間に合う」という意識を共有して部会活動が活性化することを目指します。
2019年 域外保全で生まれた
カワバタモロコの稚魚(26㎜)
2021年 10年ぶりに確認された
マミズクラゲ(竜巻池・20㎜)
調査対象とする生物が多過ぎて散漫になるという反省もあって、新たに両生類部会を立ち上げることになりました。
カエル類をはじめとする両生類については両生類部会に発展的に引き継いでいくことになります。